むち打ち症は、追突・衝突などの交通事故、または急停車などによって、首がむちのようにしなったために起こる症状の総称です。
症状に基づき、頸椎捻挫型、神経根症型、精髄損傷型に分かれ後遺症も残りやすいのが特徴です。
交通事故が原因となって起こる障害のうち、約半数がむち打ち症と言われています。
低速走行中や、停車中の追突など、軽い追突事故でも発症することがあります。
身構えていない状態で衝撃を受けると、体重の約10%もある頭部を支える首には大きなダメージが残ってしまうのです。
交通事故だけでなく、スポーツなど、首に急激な負担がかかった場合にも発症します。
むち打ち症の代表的な症状
・痛み(首の後ろ、前部、側面、頭部、頸椎、腕)
・凝り、重い(首、肩、背中)
・動かない(首が回らない、動かすと痛い)
・めまい、目のかすみ、目の疲労感
・吐き気
・握力低下、足や指先のまひ
むち打ちの症状はすぐに出ないことが多い
むち打ち症の特徴として、事故直後に痛みや不調を感じないことが多い、ということがあげられます。
交通事故当時は興奮状態にあり、痛みを感じる感覚が麻痺している場合もあります。数日経過して、首の調子がおかしい、やたらと肩が凝る、などといった症状が出て来ることがよくあります。
「むち打ち症」は一般的な総称。大きく3つに分かれる
むち打ち症は正式な傷病名ではなく、正式には「頸椎捻挫」、「バレー・ルー症候群」、「神経損傷」などの診断名がつくことがあります。
頸椎捻挫・頸部挫傷・・・頸部挫傷とは、頸椎(首の骨)の周りの筋肉や靱帯、あるいは軟部組織の損傷で、むち打ち症と呼ばれる症状の70~80%が該当すると言われています。頸部挫傷とは、頸椎周りの筋肉の損傷です。
代表的な症状は、痛み(首の後ろ、首の前面、側面、頭部、頸椎)、筋肉の凝り(首、肩上部、背中)、首が動かない(運動制限)、首を動かすと痛い、上肢のだるさや痺れなどです。
バレー・ルー症候群・・・後頸部交感神経症候群とも呼ばれ、事故による衝撃が神経を傷つけた際に発症します。首の骨に沿って走る後部交感神経が損傷し、脳や脊髄の血流が低下し自律神経のバランスが崩れ、さまざまな症状を引き起こすと考えられています。
主な症状は、頭痛、めまい、耳鳴り、吐き気などです。
原因がはっきり解明されているわけではなく、目のかすみ、流涙、動悸、発汗なども見られるため、診断・治療が難しいとされています。
神経根症状・・・脊髄から出る神経を支える根元(神経根)が引き伸ばされたり、圧迫され負荷を受けたりして、さまざまな症状を引き起こすものです。
主な症状は、首の痛み、腕の痛みや痺れ、倦怠感、後頭部の痛み、顔面の痛みなどです。
ヘルニアの原因ともなり、安静にしていても、咳やくしゃみをした時、首を曲げた時に症状が強まる事があります。
脊髄損傷・・・脳から連続する中枢神経で、脊椎の中の脊髄腔を通っています。脊髄が損傷すると身体の麻痺、知覚障害、歩行障害が起こることがあり、下肢に伸びている神経が損傷すると下肢の痺れや知覚異常が起こり、歩行障害につながります。膀胱や直腸の障害が起こり、排便・排尿に支障をきたす恐れがあります。後遺障害として残ってしまう可能性が高く、むち打ち症の中でも最も深刻なケースです。
脳髄液減少症(低髄液圧症候群)・・・事故の衝撃で一時的に脊髄内の髄液圧が上昇し、硬膜が損傷し、髄液が漏れ出てしまうことによって起こるとされています。初期には頭痛が起こりますが、症状は天候に応じて左右されるという特徴があります。症状は多彩で、頭が重い、疲れが取れない、イライラする、眠れないなどの不定愁訴であることが多く、非常に診断が難しいものです。
全身の痛み、聴力・視力・味覚の障害などが起こることもありますが、MRIなどの専門的な診断方法を用いないと判明しないことが多いようです。
どの症状も長期化してしまうと後の人生がつらいものになってしまいます。
鍼灸治療はむち打ち症をはじめ、様々な身体の不調にアプローチ出来ます。
「鍼灸が身体に良い理由」も合わせてお読み下さい。
後遺症で苦しまないためにも、早めの治療開始を強くおすすめします!